居場所研究に役立つ論文まとめ【居場所ってなんだろう】

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こんにちは、ジョジョです。今日は居場所に関するデータや論文をまとめてみました。居場所がないとはどういうことか?論文やデータをみることで、より深く居場所というものを知っていくヒントになれば幸いです。

居場所研究に役立つ論文まとめ【居場所ってなんだろう】

居場所、とは何か。改めてそういわれると難しいですよね。しかし、つぶさに研究された論文をみていくことで、我々が居場所をどう思っているのか、その尺度だったり分類を知ることができます。

居場所についての研究、論文から居場所を考える

続いて、居場所についての研究、論文を調査し、様々な角度から、居場所を考察したいと思います。

特集 若者にとっての人とのつながり|平成29年版子供・若者白書

まずは、平成29年版子供・若者白書から、若者にとっての居場所をみてみましょう。
※5歳から29歳までの男女6000名を対象に実施

出典”Amazon.co.jp”www8.cao.go.jp

意外なことに、1位は自分の部屋(89.0%),家庭(79.9%),インターネット空間(62.1%)の順になってます。居場所、というのは、他者との間にあるものより、まず安心感、というものが一番大事な要素なのかもしれません。

また、➀自分の部屋,➁家庭,➂学校,➃職場,➄地域,➅インターネット空間のそれぞれについて、居場所がより充実していると感じている人の割合は、居場所と感じている場所が多くなるほど、充実度も上がっています。

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出典”Amazon.co.jp”www8.cao.go.jp

コミニティ運営者の間では、よく、依存先を複数持つことが大事だ、という話をしますが、それは実際の調査でも証明されたわけですね!

若者にとっての人とのつながり|平成29年版子供・若者白書

こころの居場所としての個人的居場所と社会的居場所

また、「こころの居場所としての個人的居場所と社会的居場所」では、居場所の定義、および個人と社会の居場所が精神に与える影響を調査しています。
(近畿圏内の国立2校,私立3校の5つの大学に通う大学生138名が対象)

この中で少し面白いと思った居場所の定義がありました。

「白分の気持ちを素直に表現しても否定されない」ということに加えて,「自分の役割が実感できる」

居場所として大事なこと、それは否定されない、ということに加えて、役割がある、ということも大事なのかもしれません。ココトモハウスのスタッフも、始めは利用者だった人がスタッフになってくれる、ということはよくあります

それはきっと、誰かの役に立ちたい、という気持ちの現れなんだと思います。
また、個人の居場所、社会の居場所と心の関係では、

社会的居場所確保度尺度得点と心理的well-being尺度得点,および自律性以外のすべての下位尺度得点との聞に有意な正の相関(ρ<.01)がみられた。

個人的居場所確保度尺度得点と心理的well-being尺度得点との聞には有意な相闘がみられなかった(

出典”jstage.jst.go.jp”

これは、社会的な居場所があると感じることと、精神的健康には相関関係があり、精神的健康と、個人の居場所を感じるということには相関がない、

つまりは、個人の居場所が心に与える影響はプラスもマイナスもなく、精神的な健康には社会の居場所が大きな意味をもつことを示してます。

例えばですが、打ち込める趣味がなかったりしても心を病む人はいませんが、会社でパワハラにあい、心を病む人はいる、というような感じで、あくまでも心の健康に大きく関わるのは、社会の中での居場所、という意味合いが大きいということですね。

”jstage.jst.go.jp” rel=”noopener” target=”_blank”>こころの居場所としての個人的居場所と社会的居場所

居場所感のなさと自己肯定感情の関係

「居場所感のなさと自己肯定感情の関係」では、居場所のなさと自己肯定感の関係について調べています。
(愛知県内の私立大学生373名が対象)

「自分のことが好きだ」「自分を価値ある存在だと思う」といった質問や、「自分は劣等感が強い方だ」「自分は挫折経験が多い方だ」などの質問を通じて、相関関係を調べたところ、面白い結果がわかりました。

劣位感情が不要感や孤独感に有意な正のパスを示しており、大学満足感が不要感に有意な負のパスを引いていた。居場所感尺度の 3 因子については不要感から孤独感、違和感への有意な正のパスが引かれた

つまり、劣等感を持っているほど、自分は不要だ、孤独だと感じやすく、居場所がないと感じているほど、孤独や違和感を感じやすい、ということを言っています。

自己肯定感が低い人ほど、自分の居場所をないと感じやすい傾向があるのですね。

また、以下の引用は居場所研究とは関係ないですが、面白かったので、のせておきます

居場所感のなさを経験したことのあるものが実際に全体のわずか3割ほどしかいない。
場所感のなさの経験が「ない」と回答することによって、以後の質問項目にはほとんど回答する必要がなくなる特徴を今回調査に用いた質問紙がもっていた。すなわち授業終了後、速やかに帰りたい思いによって多くの学生が「ない」と回答した可能性が強く考えられる。

出典”repository.aitech.ac.jp”

学生が早く帰りたいがために、「居場所がないと感じたことはない」と回答した、ということですね。真面目な論文にこんな記述があり、ちょっと笑ってしまいました。。

居場所感のなさと自己肯定感情の関係

居場所概念の分類と比較

居場所概念の分類と比較においては、居場所とは、「場所の空間性」と「場
所の社会性」の要素が個人にとって意味があると居場所が確保されています。

また、居場所感を構成する要素として、「リラックス」「やりがい」
「プライベート」が挙げられています。すなわち、居場所は空間的な居心地のよさとともに、役割だったり、また自分のプライバシーが守られているという状態が大事だといえます。

その他、居場所についての心理的概念についても触れられています。

①心の拠り所で心の安定が図れたりすることで、ありのままの自分でいられる

②自分が必要とされ役に立っていると思えることで自分が受け入れられていると感じる
③自己受容されていると思えるとで自己肯定感を高め、自己発揮できる

④自分と向き合うことで、片寄った心をフラットにし、等身大の自分を取り戻せる

出典”psych.or.jp”

どれも非常に参考になる概念です。この論文は短いですが、居場所の要素が非常によく書かれています。

居場所研究のまとめ

人が居場所を感じるためには、まず第一に強い安心感。受け入られている、自分がそこにいてもいいんだ、という気持ちだったり、誰かの役にたっているんだという気持ちがとても大事だということがわかりましたね。

コミニティを運営していくうえで、どうやってそんな空気をつくっていけばいいのか、ぜひ参考にしていきたいと思います!それでは、今日もありがとうございました。

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