近年、8050問題なので注目を集めている引きこもりですが、中には引きこもりを病気と考える方もいるようです。果たして本当に引きこもりは病気なのか、またなぜそう思われてしまうのか。引きこもりがもつ問題点を解説します。
引きこもりは精神疾患を持っている人が多い
引きこもりは、一種の病的な状態であることは誰もがうなずくところだと思います。本来であれば、仕事や友人関係など、社会と交流を持ちながら暮らしていくのが、人間の正常な姿だと多くの人が考えているでしょう。
しかし、引きこもりは病名ではありません。あくまでも一つの現象です。引きこもりを考える時に、心や精神の問題と考えることは大事ですが、病気と片付けるのではなく、多角的にものごとを考える必要があるでしょう。
ただし、引きこもりの方が発達障害やうつ病などをわずらっていたり、また逆に発達障害やうつ病を患っているために、引きこもりになってしまったという方もいるようです。
引きこもりの精神疾患の割合は?
では、実際の引きこもりの方が精神疾患をもつ割合はどのくらいなのか。二つのデータを上げたいと思います。
一つは、「内閣府の生活状況に関する調査」です。
こちらでは、引きこもりの中で精神的な病気を持っていると回答した人は、31.9%でした。
また、全国の精神保健福祉センターで行われた調査において、相談に訪れ診断を行った184名のうち、149名が精神疾患を持っていました。実に80%が、精神疾患をもっていたことになります。
本人が来談した184件について、精神科的診断を実施した結果、情報不足などのため診断保留とされたものが35件であった。
これらを除く148件で診断が確定し、その内訳は、統合失調症や気分障害等の薬物療法が中心となる群が49件(32.9%)、広汎性発達障害や精神遅滞等の生活・就労支援が中心となる群が48件(32.2%)、パーソナリティ障害や適応障害等の心理療法的アプローチが中心となる群が51件(34.2%)であった。
両者をみても、引きこもりの方のかなり多くの方が、精神疾患を持っている可能性はかなり高いといえます。
引きこもりに多い精神疾患は?うつ病?発達障害?
引きこもりに多い精神疾患ですが、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、引きこもりに多い障害として、特に発達障害が挙げられています。
急性期精神科医療の現場で、30 歳以下の初診患者のうち 22%がひきこもりを呈しており、その診断は統合失調症
11(ICD-10 の F2)、神経症性障害(同じく F4)、広汎性発達障害(同じく F8)を中心とする発達障害(中島ほか,2009)がほぼ同数だった
なぜ引きこもりに発達障害が多いのかという点についてですが、これは私の推測となりますが、発達障害であるがゆえに人間関係がうまくいかず、引きこもりになってしまった、という方が多いのではないかと感じています。
その他、同ガイドラインでは以下の精神疾患が挙げられました。
- 広汎性発達障害
- 強迫性障害を含む不安障害
- 身体表現性障害
- 適応障害
- パーソナリティ障害
- 統合失調症
ここに挙げられている病気は、全てが人との関係に障害を引き起こす病気です。こうしてみると、引きこもりと関係しているのは、やはり人との関わりとのつまづきなのかもしれない。そんな想像ができました。
引きこもりの治療にお勧めの相談先
引きこもり自体は病気ではありません。しかし、あなたが引きこもりであり、精神疾患に苦しんでいる時、どこに相談すればいいのか。
精神科や病院、公共施設など、最適な相談先を紹介します。
精神保健福祉センター
1番に考えたいのは、精神保健福祉センターです。精神保健福祉センターは、地域と連携を取りながら、様々な心の相談ができる窓口です。
困ったらまずは精神保健福祉センターに相談してみることで解決の糸口が見えてくると思います。
メンタルクリニック、精神科
メンタルクリニックや精神科も有効な相談先です。勇気がいるかもしれませんが、何より専門家がしっかりとサポートしてくれるので、安心です。
クリニックはどうしても相性があると思うので、まずはネットなどで探して合いそうなところにいってみると良いでしょう。
地域のコミニティ
私達ココトモハウスもそうですが、引きこもりの方が集まるコミニティも相談先として最適です。
専門家ではなく、同じ実体験をもつ当事者に相談できることは、本人にとっても助けになることでしょう。
その他にも、引きこもりの相談を受けてくれる施設は多数あります。自分に合った相談先を探し、まずは足を運んでみましょう。
終わりに
本日は引きこもりと精神疾患の関係について書きました。もしお困りの方がいたら勇気をもって相談してみましょう。
自分をしることで新しく気が付くこともあります。それでは、今日もお読みいただきありがとうございました。